クリームの白さを蟻に運ばれて　透けた影の打つ脈途切れく

歯ブラシ袋を捨ててまで磨いた何か　拾われて恥ずかしんでくれ

風をうけそよそよと影の濃い方へ　ゴミと呼ばれも涼にひと息

空映すトングで止めた羽の音　光り舞うのは叶わない　ごめん

生命の臭いのしない包装　呪詛が同じ暑さで消えてた

県道のプラごみ素通りする度に君の咳が止まらぬ気がして

台風を手伝い町を吸い込めば　眠れぬ君が少しは減るかも

背中曲げ泥落とす靴とすれ違い　トングカチチカ　次見る映画

レジ袋桜の緑と合わせゆれ　おぼろな酎「月のよう」と君

ドーナツは歯型がなくて未開封　君名乗り出て可食にしたい

粒雨や　コソコソと鳴る包装を持ち上げた重さ垂れて手が濡れ

「GPS、ついてないよね？」臭い嗅ぎトングの音止め中断中

君の手が選ばなかった菓子袋　とても紫とおくにある

ボトルなくキャップ次々届けくる　白くないもの選り好みする

足元に今、松ぼっくり　またぐには異質すぎるが離れればどうか

白色の獣の骨で骨たたき　肘から弾き戻されし春

袖まくりチャランポランと拾いたり　君が寝ている吾の影濃い

アイスフタカップスプーン順に拾い　肌寒ぐらい大目にみよう

手のひらに塩をふりかけ祓い出す　濁りと触れるは別のこと